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【ヒロアカ】自己犠牲ヒーロー

第8章 犬猿の仲


「どうして、ここに?」

デクはチャージズマの後ろに立つ人を見て、思わず疑問が溢れる。

「どうしてって、ふふ、ここは私たちの職場よ?ふふ」

明らかに笑いを堪えきれていない状態で、この家の使用人は返答する。
デク達が家に来てから色々世話をしてくれた女性の使用人。昨日までの優しげな面影はどこにも無い。

「ああなんて無様なの!笑いが込み上げて仕方がないわ!阿鼻叫喚!」
『阿鼻叫喚……苦しみに耐え切れず、叫ぶ事。非常に惨たらしいさま。……使い方間違えてませんか?』
「私、アンタのそういうとこ、ほんと嫌い」
『奇遇ですね、私もです。女狐』
「とっとと死になさいよ。影女』

女性の怨念とは恐ろしいものである。

「え、知り合い?ていうか修羅場?」

下手な発言は己の首を絞める。
チャージズマの言葉を聞いた使用人は、彼の顎に頭突きを食らわせる。そのままの勢いで彼は倒れた。
チャージズマはしばらく起き上がってこないだろう。

「それで?アンタらはどうすんの?私を捕まえる?拷問にかける?それとも殺す?」

使用人は気味の悪い笑みを浮かべて、チャージズマの背中に乗る。

「ど!う!す!る!の!」

一語ごとに背中で踵を鳴らす使用人。それに合わせて声を漏らすチャージズマ。
デクは何か言おうと口を開くと、

『デクさん、やめておいた方がいいですよ』
「え?」
『彼女は説得には応じません。これも彼女の“個性”故でしょう』

デクは黙って口を噤んだ。
シェイドは冷徹に使用人を睨め付ける。

『自己中心的で身勝手で他人の意見は一切聞かない頑固娘には、言葉ではなく力で証明した方が早いです』
「……と、言いますと?」

デクが恐る恐る先を促すと、シェイドは静かに続ける。

『さあデクさん。正義の名の下に貴方の拳をあの敵(ヴィラン)の顔にぶち込んでください』
「なんで僕が!」
『じゃあ貴方でいいです』
「え?」

シェイドの目がデクから正面に戻される。
デクが彼女の視線の先を見やると、使用人は両腕に手榴弾を模した籠手をつけた男に拘束されていた。

「はっ!あの赤髪!やってくれたわね!」
「っせえ。黙って伏してろ」

使用人は木の床に頬を押さえつけられながら吠える。

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