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【ヒロアカ】自己犠牲ヒーロー

第5章 渡る世間に鬼はなし


性同一性障害。同性愛。

どちらも聞いたことがあると思います。

私の親戚一同は、特に彼らを差別しています。

私はこの家系に生まれて恥ずかしいです。

自分の子でも差別の対象にするから。














私の従兄弟である春香。
彼は、いえ、彼女と言う方が妥当ですね。
彼女が10歳の時の話です。
年末、毎年親戚で集い、皆で新年を迎えます。
大人達が昼間から酒を飲んで騒いでいるので、私達子供は別の部屋に入れられて、時々届けられる食べ物を摘みながら、各々の持参したゲーム機やトランプで遊ぶのが恒例です。
春香の弟は7歳で、部屋で大人しくするよりも外で遊びたがりました。

「ねぇね、外行こ〜!おにごっこ!おにごっこ!」

その年は例年よりも気温は高く、比較的暖かい日でした。
だから春香はそれを了解した。

「ごめん、一緒にきて?」

春香は私を見て言いました。その理由は分かりきっている事です。

『うん、いいよ』

私は直ぐに春香とその弟の為に動きました。大人達が騒ぐ広間にしれっと入り、両親の元に近づき、春香の弟と外で遊ぶ事を伝えます。2つ返事で許可が下りました。
今度は春香の両親です。弟を外に連れて行く事を伝えると、何も言わずに了解しました。が、あたかも思い出したかの様にこう付け足しました。

「春香は絶対に連れて行くな」

私は全身に力を入れて、耐えて、声を出す。

『……存じ上げております』

これで私の任務は最終段階に入ります。
広間を出て、廊下の陰で待つ姉弟と合流して、私の影に2人を引き込み、音を立てずに玄関から外に出ます。途中、靴を拾うことは忘れずに。
外に出ると、弟はしばらく広い庭を駆けずり回りに何処かへ行きます。
残された私と春香は弟が戻ってくるまで、大人達の死角に入る場所で待ちます。


私は春香の背中に額を擦り付けて、耐えかねて出てきたものを少しずつ流す。
春香は背中が濡れ始めた事を感じながら静かに言う。

「いつもありがとう。それからごめんね、嫌な役回りで」
『ううん』
「私の事で泣いてくれるの、君だけだよ。一生そばにいて」
『私達、従兄弟じゃん。結婚無理』
「血が繋がってるから?」
『アイツらが許さない』
「……そうだね」

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