第1章 一松くん、出会う。
あの後、
帰り道にまた違う猫がいたから戯れていると
あたりは暗くなっていて、気づけば午後の20時だった。
「一松兄さん、何処行ってたの?」
帰って即効トド松に利かれた。
「……散歩」
「ふぅーん、そうなんだ」
興味なさそうに返事するトド松を横目に、
俺はリビングに行った。
こたつにもぐりこんでスマホで癒し猫botを観ていたら、
ピロンッ
と軽快なLIMEの音が響いた。
…あ、あいつだ。
そういえば今朝、交換したんだった。
いつもは放置する俺だけど、
柄にもなく少しだけ胸を躍らせて画面を開いた。
[ 私の事おぼえてる?
木村みゆです! ]
律儀なやつ…。
にやけそうになる口角を押さえつつ、
キーボードを打った。
[覚えてる]
送った後に気づいた。
こいつ、LIME冷たい奴嫌いだったらどうしよ。
せっかく送ってあげてんのに
なんだよこの態度、死ねクソ松
とか思われたら…。
そんな考えが浮かんだけど、
そんな自分に寒気がして考える事をやめた。