第15章 DEAD APPLE
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「……っ」
澁澤によって芥川の身体が地面に打ち付けられる。与えられた衝撃は激しく、摩耗しきったかのように黒布でできた鎧が淡い光を放ち、その姿を解いた。
澁澤が羅生門ごと芥川の心臓を貫こうとした。
その手が振り抜かれる前に、夜叉白雪が澁澤に斬りかかる。刀が受け止められ、容赦ない速さで拳が飛んでくる。夜叉白雪が殴り飛ばされ周囲のビルにぶつかり、落ちてきた瓦礫に生き埋めにされた。
澁澤の前に残されたのは、鏡花一人だ。
「君達の生命の輝き……確かに受け取った」
澁澤は自らの爪を変形させ、ナイフのように伸ばす。鋭く伸びた五本の爪が、鏡花に振り下ろされようとした時。
何処からか、青白い閃光が降ってきた。
近付く気配に澁澤が反応する。だが、澁澤が身構える前に閃光は澁澤にぶつかり轟音をあげた。
爆風にも似た強い風を受け、鏡花は咄嗟に目を瞑る。土煙がおさまり、漸く目を開けた鏡花が見たのは、しなやかで逞しい白い獣の影だった。