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明るみの花【文豪ストレイドッグス】

第7章 爆弾魔


ピッーー

「「「あ」」」

敦は転んだ勢いで落ちていた爆弾の釦を押してしまっていた。
爆弾に時間が表示される。ーーあと五秒

「爆弾が!」ーーあと四秒

社内が騒然とする中、敦が動いた。

「!」ーーあと三秒

敦が爆弾に覆いかぶさったのだ。ーーあと二秒

「莫迦!」ーーあと一秒

敦は目を瞑った。ーー零



爆弾は爆発せずにそこに有った。
敦はゆっくりと目を開ける。
目の前には太宰、国木田、葉琉、そして先刻まで爆弾魔として拘束されていた少年の姿があった。

「やれやれ…莫迦とは思っていたがこれ程とは」

呆れた顔で国木田が言った。

「自殺愛好家の才能があるね、彼は」

太宰は笑っている。

「ごめんね、敦君」

申し訳無さそうに謝る葉琉。

「へ?………え?」

まだ状況が掴めていない敦。
その横を颯爽と一人の影が通っていき、先刻の爆弾魔に抱きついた。

「ああーん、兄様ぁ!大丈夫でしたかぁぁ!?」

「痛だっ!?痛いよナオミ、折れる折れる。って云うか折れたァ!」

よく見ると先刻人質とされていた制服姿の女の子だ。
敦は益々理解が追いつかない。

「………へ?」

「小僧。恨むなら太宰を恨め。若しくは仕事斡旋人の選定を間違えた己を恨め」

国木田が溜息交じりで言うと、「そう云うことだよ」と太宰が続いた。

「つまりこれは、一種の入社試験だね」

「入社…試験?」

「その通りだ」

後ろから、聞いたことのない声が聞こえて振り返る。

武装探偵社、社長
福沢諭吉
異能力ー人上人不造

「社長」

国木田が一礼する。
敦はいきなりの社長の登場に驚いている。

「そこの太宰めが『有能なる若者が居る』と云うゆえ、その魂の真贋試させてもらった」

「君を社員に推薦したのだけど、如何せん君は区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内でも揉めてね。で、社長の一声でこうなった、と」

太宰の説明を黙って聞いている敦。唖然としていた。

「で、社長…結果は?」

国木田の問いに社長は敦をじっと見つめる。
そして、「太宰に一任する」と言い残し去って行った。
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