第7章 爆弾魔
じゃん拳で勝った太宰はにっこりと国木田を誘導する。その様子を敦と葉琉は見ていた。
「おい、落ち着け少年」
国木田は爆弾魔にゆっくりと歩み寄る。
「来るなァ!吹き飛ばすよ!」
爆弾魔はリモコンをチラつかせた。
流石の国木田も両手を上げ、無抵抗の意思を見せる。
「知ってるぞ。アンタは国木田だ!アンタもあの嫌味な能力とやらを使うンだろ!?妙な素振りをしたら、皆道連れだ!」
爆弾魔は先刻より激昂していた。
その様子を残った三人が影で見ていた。
「まずいねこれは。探偵社に私怨を待つだけあって、社員の顔と名前を調べてる」
「社員の私達が行っても更に警戒されるだけだねぇ……どうする?」
太宰と葉琉は何かに気付き、一斉に敦を見てニヤリと笑った。敦も二人の何かに気付き、青ざめていった。
「社員が行けば犯人を刺激する。となれば、無関係で面の割れてない君が行くしかない」
「むむ、無理ですよそんなの!第一どうやってー」
「犯人の気を逸らしてくれれば、後は私達がどうにかするよ」
敦は首が取れそうな勢い横に振った。
「信用し給え。この程度の揉め事、武装探偵社にとっては朝飯前だよ」
にっこりととても信用出来ない笑みで、太宰は敦にお願いする。敦は諦めるしか無かった。
「や、やや、やめなさーい!」
敦が犯人の前に飛び出した。
「何だアンタっ」
爆弾魔の反応に更に引きつる敦。
「ぼぼ、僕は騒ぎを聞きつけた一般市民ですっ!いい、生きていれば好い事あるよ!」
演技とは思えない駄目人間っぷりを発揮する敦。爆弾魔の説得を行う。最早敦の目の方が狂気じみている。
爆弾魔は激しく動揺した。
その隙を太宰と国木田は見逃さなかった。国木田は持っていた手帖の頁に素早くペンを走らせた。
「独歩吟客!鉄線銃!」
文字が書かれた頁を破り取ると、その紙が鉄線銃に変わった。それを爆弾魔の手元に向けて発射する。犯人の手からリモコンが落ちた。
「確保っ!」
太宰の掛け声と共に国木田は爆弾魔に素早く詰め寄り、一撃を食らわせた。凄い音と共に、爆弾魔は確保された。その様子を見ていた敦は力が抜けてしまっている。
影で見ていた太宰と葉琉も、国木田の元へ駆け寄る。
その時、足元がふらついた敦が倒れた。