第7章 爆弾魔
ーー武装探偵社事務室ーー
虚ろな目をした赤毛の少年がいた。手にはリモコン、傍には人質の制服姿の女の子と爆弾。今にもスイッチを押さんばかりの状況である。
「もう嫌だ……全部お前等の所為だ…武装探偵社が悪いんだ!
社長は何処だ、早く出せ!…でないと、爆弾で皆吹っ飛んで死ンじゃうよ!」
狂気的に叫ぶ赤毛の少年。その様子を着いたばかりの太宰、国木田、葉琉、敦が覗き見る。
「怨恨だ。犯人は探偵社に恨みがあって、社長に会わせないと爆破するぞ、と」
「ウチは色んな処から恨み買うからねぇ」
国木田の説明に頷く太宰。
葉琉は犯人の傍にある爆弾に目をつけた。
「あれ、高性能爆薬だよ。この部屋位は吹っ飛んじゃうねぇ」
「爆弾に何か被せて爆風を抑えるって手もあるけど…この状態じゃなぁ」
悩む三人。すると閃いた様に太宰が切り出した。
「会わせてあげたら?社長に」
「殺そうとするに決まってるだろ!それに社長は出張だ」
「国木田君、音量下げないとバレるよ」
作戦は振り出しに戻った。
「先ずは人質をどうにかしないと」
太宰はちらりと制服姿の女の子をみた。
「私行こうか?あ、でもいまムシの居所が悪いから手加減できないかも」
にっこりと笑い立候補する葉琉を太宰と国木田は一度見たが、直ぐにお互いに向かいあった。
「太宰、覚悟はいいな」
「いつでも来なよ、国木田君」
「お二人さん、私は?」
葉琉を無視し、構える太宰と国木田。真剣に見つめ合い、いざ勝負!
ぽんっ…ぽんっ…ぽんっ!
じゃん拳勝負の結果、国木田が負けた。
勝利に得意げに笑う太宰、負けて震える国木田、その後ろで無視されて落ち込む葉琉と葉琉を慰める敦。爆弾魔と対峙しているとは思えない光景が此処にあった。