第15章 食堂のキミ、眼鏡のあなた/後編
「くっくっ」
子分達と一触即発で睨み合っていると、後ろにいたリーダーが妖しく笑い出す。
「面白ぇ… そこのお前。この女と大事なハナシがあるだって?」
「ああ、二人きりで話したいことがある」
「ほう? で、そりゃあ色恋絡みの話か?」
「そうじゃない。 でも今後の人生を左右するかもしれない重要な話です」
「なるほどねぇ」
リーダーは一度深く頷いて…ーー
「何やら事情がありそうなとこ悪ぃが、俺以外の野郎がコイツを独占するのは許してやれねぇ。莉菜は俺が先に目を付けた女だ」
「…? いまいち理屈が良くわからないな。要するに貴方と彼女は恋仲もしくはそれ相当の親密な仲、だから二人きりで話すなと言うわけですか?」
「恋仲か… いい響きだ。 ま、今は違うが近々そうなる。 なるべく悪い虫は付かねぇようにしねぇとな。くくく」
「ちょ、何を勝手に! 絶対イヤです、 前からお断りしてるはずですっ!」
話の流れを聞いてた莉菜さんが黙ってられないとばかりに抗議する。
「相変わらずつれねぇなぁ。大抵の女は尻尾振ってついてくるぜ?」
「私はイヤなんですっ、てば!」
「ちっ… ごちゃごちゃ言ってねぇでこっち来い!」
「きゃあ!」
リーダーが大股歩きで莉菜さんに近付いたかと思うと彼女の手首を強く引っ張った。
嫌がる女性を無理やり連れ帰り手籠めにする気か…
自己中心過ぎて呆れる、ますます引き下がるわけにいかない。
「おら、とっとと歩け!」
「イヤ!!」
(…ー!)
次の瞬間、
俺はリーダーの腕を捻り上げていた。
「っ… 何しやがる」
痛みに耐えかねたリーダーが莉菜さんの手首を勢いよく離し、解放する。
それを確認してから俺も彼の手を離した。
「失礼。先ほどからの貴方の言動が目に余ったもので、つい」
頭より先に身体が動いたのは久しぶりだ。
やけに苛立つ自分に自分で首を傾げる。