第14章 食堂のキミ、眼鏡のあなた/前編
「あ…っ」
着物の上からでも触れられてる感覚はしっかりとあるらしく、
僅かに肩を揺らして恥じらう姿は可愛い以外の何者でもない。
顔を覗き込み反応を伺いながら そのまま爪で引っ掻くように指先を小さく振動させる。
(カリカリ カリカリ)
「っ、佐助くん」
「ん?」
「それ、ワザとやってる?」
「ワザとって何が?」
「ゆ、指の位置!」
「指の位置がどうかした?」
「〜っ、もう…!」
可愛らしい抗議に耳を傾けつつも的確に捉えた乳首をピンポイントで刺激する。
莉菜さんの胸の形、感触、身体のありとあらゆる構造は昨日今日で調べ尽くして頭にインプットした。
着物を着ていても裸が透けて見えるくらいにいつでも脳内プレイバック可能だ。
ちなみに今触れている左乳首の位置を仮に点Pとして座標軸で表すとすると、x軸とy軸の交差する原点0がヘソだとしたら点Pの座標は おおよそP(2,4)………
「ね、ねぇ、だめだよ… もし誰かに見られたら」
「それは困る」
もちろん道行く人の誰ひとりとして此方に目を向けていないのは把握した上でやってる。
だけどここは人の往来も多い城下町の街道、
莉菜さん的に落ち着かない環境であるのは間違いない。
「じゃあ、こういう事は二人きりの時に」
スッと指を離してから耳元で囁くと、
「ん」
莉菜さんが頬を染めて唇を噛む。
そして少し身体を前傾させ、額を俺の胸板にくっつけた。
「莉菜さん…」
すぐに腰に手を回し、軽く抱き寄せる。
「佐助くん…… 好き」
「!」
…ーー成る程。
こういうのを"幸せの極み"っていうのかもしれない。
今すぐ隠れ家に取って返したいくらいだけど必死でブレーキをかける。
「俺も好きだ」
そう言って ほんのひと時 莉菜さんの髪の香りを楽しんだ後、
「そろそろ行こうか」
「…うん!」
さっきより幾らか元気を取り戻した莉菜さんの手を取り、城に向けて歩き出した。
………
………