第14章 食堂のキミ、眼鏡のあなた/前編
「申し訳ございませんでした………」
政宗様が持ってきて下さった白湯を飲み、落ち着きを取り戻した私は畳に平伏して謝罪する。
「いや、俺も少しからかい過ぎた。悪かったな」
「ととととんでもない!」
はぁ…
からかわれてたんだと分かって顔から火が出そうだ。
本当はこのまま永久に平伏していたいくらいだけど、政宗様に促されてやむなく顔を上げた。
「…で。話の続きだが」
「は、はい」
「単刀直入に聞く。お前、莉菜が今誰とどこに居るのか知ってるな?」
「!」
「さっきも大方、莉菜のために秀吉の動向を探ってたんだろ」
「うっ」
いきなり核心をつかれ、固まってしまう。
「そう警戒するな。俺は秀吉と違ってお前らの味方だ」
「え…」
「って言ったらやや語弊があるな。ああ見えて秀吉も莉菜のことを理解してやろうと努力はしてる。秀吉だけじゃない、信長様も他の奴らもだ」
…!
それはつまり、やはり莉菜様と佐助様が想い合っていることは武将の皆様に筒抜けだったと…?
さっき感じた疑問があっさりと解消し、ポカンと口を開く。
「相手が佐助なだけに莉菜は懸命に隠してたつもりだろうが、初めからボロが出まくってたからな。まぁそれがまた面白えんだが」
政宗様はそう言って笑いをかみ殺した。
「そ…」
ーーそうだったのか。
実はかなり前から全部気づいていて、黙認してらっしゃったんだ。
だからわざわざ捜索隊を出すこともしないんだ…
っ、でも!