第13章 今夜は朝まで離さない/後編/R18
「ありがとう。眼鏡、どこにあった?」
「佐助くんが寝入ってから、私が外して机に置いておいたの」
「外した…?君が?」
「うん!」
「……そうか、全然気付かなかったな」
ピシッと眼鏡を装着すると、一気に視界がクリアになった。
莉菜さんは今朝もやっぱり猛烈に可愛い。
けど…
眼鏡を他人(ひと)に外されて気付かなかったって……
よほど眠りが深かったのか 莉菜さんが俺を上回る気配断ちの達人なのか、どっちなんだろう。
首を捻ったその時、
フワッと味噌の香りが漂ってきた。
「これ、味噌汁の匂い?」
「あ、うん!昨日たくさん寝たせいか今朝は早起きしちゃったの。だから朝ご飯を作ろうと思って… 勝手にお台所 借りてごめんね」
「そうだったのか。朝ご飯、嬉しいな」
よく見ると きっちり着物を着込んだ莉菜さんはタスキ掛けをしていた。
さぞ張り切って作ってくれたんだろうと容易に想像がつき、微笑ましい気持ちになる。
「佐助くんが顔洗ったら食べよ!」
「わかった、すぐに洗って来る」
ーーー
裏の井戸で身だしなみを整えて部屋に戻ると
布団は綺麗に畳まれて端に寄せられ、ちゃぶ台の上には朝食が並んでいた。
まるで新婚みたいでテンションが上がる。
具沢山の根菜の味噌汁に 炊きたてのご飯。
あと、何の葉か良くわからないけど緑色のお浸しもある。
でも こんな葉物、うちにはストックしてなかったような気もするけど どうだったか…