第13章 今夜は朝まで離さない/後編/R18
(チュン… チュンチュン……)
「………ん…」
瞼に光を感じ、薄っすら目を開ける。
…朝だ。
あれから一度も目覚めずだったのか………
早速、隣で寝ている莉菜さんを抱き締めてキスをした。
(チュッ)
「おはよう、莉菜さん」
…………。
「…ん?」
莉菜さんの唇の感触が硬い上、反応が無いことに戸惑っていると、
「佐助くん、おはよう!」
全く別の方向から、明るい声が響いて来た。
「どうしたの? 枕なんて抱き締めて」
枕・・・
「コホン… 起きた瞬間、なぜか急に枕の構造が気になったんだ。それより おはよう」
状況を理解した俺は わざらしく咳払いをして起き上がり、眼鏡を探す。
うまく誤魔化せただろうか…
眼鏡が無いと、本当に何も見えないから困る。
(ゴソゴソ ゴソゴソ)
……無い。
どこへ行ったんだ俺の眼鏡は。
初夜の翌朝一番のモーニングキスを枕に奪われてしまったショックを引き摺りながら 畳を撫でて眼鏡を探していると、
(ちゅっ)
「!」
近付いて来た莉菜さんに、唇の端にキスをされた。
「はい!これ大事なメガネ♡」
そして眼鏡を手渡され、呆然としながらも受け取る。