第12章 今夜は朝まで離さない/中編
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何を隠そう この歳まで真剣に男女交際というものをしたことがなかったし、
そもそも女性をこんなに好きになった経験もない。
大学時代、何人かと"大人のお付き合い"をさせてもらったことはあったけど…
あくまで お互い恋愛感情抜きが前提のドライな関係に過ぎなかった。
その証拠に当時の相手の名前も顔も全く覚えていない。
だからハッキリ言って俺の恋愛スキルはかなり低い。
莉菜さんの涙を見たときは一瞬頭がパニックになった。
さっき場の空気を読み誤った俺が最悪の事態を免れたのは、莉菜さんが素直な気持ちを伝えてくれたからとしか言いようがない。
莉菜さんのためにも これから少しずつ精進して行こう……
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その後、
小さなちゃぶ台を挟んで向かい合わせに座り、楽しく会話しながら食事をした。
外泊を決行すると決めた後から不思議と心が軽い。
何かが吹っ切れたような感じだ。
莉菜さんもすっかり元気になって俺の作った木の子雑炊を美味しそうに完食。
心配してた体調も、この分なら問題なさそうだな…