第12章 今夜は朝まで離さない/中編
こうなったら言うしかない。
勝手なこと言って困らせちゃうかもしれないけど、もう……
「佐助くん」
「うん…?」
「帰りたくない」
「…!」
「今夜はこのまま、ここに居させて…… お願い」
やっとの思いで気持ちを吐き出すと、佐助くんの目が大きく見開かれたのが眼鏡のレンズ越しに見えた。
呆れられたかな。
こんな子供みたいな無理言って…
しかもこれって"今日どうしてもエッチがしたい"って言ってるようなもんだよね?
ワガママな上に はしたないし、超恥ずかしい………
気持ちがぐちゃぐちゃで顔に熱が集まる。
それ以上何も言えずに ただ涙だけ流していると、
「はぁーーー………」
しばらく目を見開いたままだった佐助くんが、項垂れて長い溜息をついた。