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イケメン戦国【秘密の花園】

第12章 今夜は朝まで離さない/中編




「莉菜さん」

「…え?」


佐助くんの声色が急に真剣味を帯び、ドキッとして肩が揺れた。


「今日は 君を帰すつもりはない」

「っ!」

「……と言いたいところだけど」


…?

だけど…?


「事件のせいで君も心身ともに万全じゃないだろうし… 無断外泊なんてしない方がいい。泊まらないにしても あまりに遅くなると安土城の皆さんに余計な心配をかける」

「う… うん」

「だから… ご飯を食べたら、城に送る」

「…………」

「残念だけど また日を改めよう」


"日を改める"…ーーー

私が微かに抱いていた希望とは逆の提案を聞いて、固まってしまった。

自分の身体は平気。

怠さも目眩も全くない。

でもやっぱりダメ…… だよね。

門限を気にしなきゃいけなかったり自由に外泊もしちゃいけないなんて まるで小・中学生みたいだけど

信長様に散々お世話になってる身で無茶なことは出来ない。

佐助くんは、私の身体や立場を心配して言ってくれてるんだ。

そう頭では分かってる。

分かってる、けど………


「……ぅ」


必死に耐えてた涙が、ついに流れてしまった。


「莉菜さん?」

「っ…」

「え!莉菜さん、ごめん、俺…!」


私の嗚咽を目の当たりにして、佐助くんが アワアワし始める。


「大丈夫……?」

「ごめ… 泣くつもりじゃ、」


話し始めると余計に涙が溢れて止まらない。


「莉菜さん…」

「ひっ… く」


私の両肩に手を置き、心配そうに顔を覗き込む佐助くん。


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