第12章 今夜は朝まで離さない/中編
開け放たれた窓から外を覗くと、もう完全に夜だった。
真っ暗闇の中に昨夜と同じような丸い月が浮かんでる。
心なしか昨日の月より綺麗かもしれない。
…あ。
そういえば今、何時頃なんだろう。
「お待たせ。莉菜さん、机の上に その鍋敷きを敷いてくれる?」
「あ、はい!」
時間を気にしていると、鍋を抱えた佐助くんが ちゃぶ台のすぐ側まで来ていた。
言われた通りに素早く鍋敷きを敷く。
「…どうかした?」
「えっ!」
「何か考え事をしてるように見えたから」
「あー、うん。今 何時かなって」
頭で考えてたことを正直に口にすると、
「今は20時をまわった辺り」
私とは目を合わせずに佐助くんが鍋を置いた。
「…! そ、か… もう8時……」
は、8時!
私、そんなに寝てたの!?
一部の歓楽街を除き、電気がないこの時代では暗くなると同時に町は静まり返る。
夜8時にもなれば早々と就寝準備をし出す人も多い。
行き先もハッキリ告げず外出、さらに帰りも遅いとなると… 城の皆さん(特に秀吉さん)も さすがに心配するだろうな。
せっかく目が覚めたけど、もうあんまり長く居られない。
門番の人にも、夕方には帰るって言っちゃったし……
「…………」
でも今日は…
今日、だけは……ーーー