第11章 今夜は朝まで離さない/前編
「お二人とも、ありがとうございます」
怒りに震えながらも、仲間に向けて 莉菜さんを見つけてもらった御礼を口にする。
「礼など不要。佐助殿、先に莉菜殿の様子を」
「…はい、見てきます」
促され、家の中に土足で入って行くと……
「…!」
居た…
奥の間に敷かれた布団の上に莉菜さんが寝かされていて
その傍らには俺の同僚である女性の忍が付き添ってくれていた。
「莉菜さん!!」
駆け寄って両頬に手を添え、莉菜さんの状態を確認する。
(スー…)
(スー…)
莉菜さんは穏やかな顔つきで眠っていた。
「…………っ」
良かった、
生きて、くれてた………
あと、身体は…… どこか………
「佐助、安心して。さっき私が確認したけど身体は無傷だ。何もされてないよ。ヤツに薬を嗅がされてぐっすり寝てるだけ」
「っ、そうか… ありがとう」
俺の心を読んだかのように声をかけてくれた仲間に絞り出すように御礼を言い、ゆっくりと立ち上がる。
「ごめん、もうしばらく莉菜さんを頼む」
「あぁ任せろ。きっちり落とし前つけて来な」
ーーー
もう一度 庭へとやって来た俺は男の前に立ちはだかった。
「わぁぁー!すみません!!!」
まだ何もしていないのに、今にもチビりそうな勢いで男が叫ぶ。
「まずは話を聞こう」
片膝を地面について顔を覗き込むと、男が堰(せき)を切ったように喋り出した。