第11章 今夜は朝まで離さない/前編
「待ってくれ」
「…!」
手首をグッと掴まれてしまった。
「御礼と言ったがそれは口実でしかない。実は貴女をひと目見て気に入ってしまってね」
「ええ!?」
ナンパだったの!?
最近ナンパされる率がやたら高いような。
しかもこのパターン、前のお祭りデートのときに……
「あ!」
もしかしたら また佐助くんが変装してるのかも!
よく見たら背格好も似てるような気もする。
笠をかぶって顔を隠してるのも同じ…
その男性の、上から下までをジッと見る。
「もしかして… 佐助くんじゃない?」
「…………」
「佐助くんでしょ?」
「…………」
「ふふっ、2回目は騙されないもんね!」
何も言わない男性の顔を笠の下から覗こうと近づくと…
「っ、きゃ!」
突然、男性がヒラリと背後に回り、私の口元に手ぬぐいを押し当てた。
「ん!?」
変な薬品の匂いを無理やり吸い込まされ、すぐに意識が朦朧としてくる。
「んんーーー!」
「サスケ…?誰だい、それは」
嘘!
佐助くんじゃなかった!!
「ん"〜〜〜っ!」
「っ、随分 威勢のいい女だ」
どうしよう、
佐助くん…!
ごめん… なさ…………ーーー
思いっきり抵抗してみたけど強烈な睡魔に勝てず、
そのまま気を失うように眠ってしまった。
***