第11章 今夜は朝まで離さない/前編
でも… 初めは痛いって聞くけど大丈夫かな。
血が出ることもあるって言うよね?
「う〜ん」
さすがにこの件は露骨過ぎてお晴ちゃんに相談するわけにいかず、ひとりで悶々とするしかなかった。
ここだけの話 私はまだそういう経験が一度も無く、何をどうしていいのやら全くわからない。
学生時代に何人かお付き合いはしたけれど、エッチまでは進展しなくて。
相手に求められるたび拒否していたらギクシャクして自然消滅…
周りの女友達が次々と経験していく中、恋愛よりも部活やバイトに明け暮れる日々を送っていたのだった。
今考えると、エッチに踏み切れなかったのは私が当時の彼のことを心の底から想えていなかったからだと思う。
中途半端な気持ちで付き合ったりして逆に申し訳なかったな…
でもそんな私もやっと"初めて"を迎えられるんだ。
本当の本当に、
心から大好きな人と。
「…佐助くん」
佐助くんは今何をしてるんだろう?
晩御飯はちゃんと食べられたかな?
「早く逢いたいな……」
ひと晩越せば逢えるとわかってるのに待ちきれない気持ちで一杯になる。
今夜もやっぱり寝付けなくて窓から外を眺めると、
夜空には満月が煌々と輝いていた。