第10章 熱帯夜に見た夢/R18
ザ、ザ、と、自分達の歩く足音だけが聞こえる。
本殿の方まで戻るのかと思いきや、佐助くんは草木が生い茂る ひと気のない場所で歩みを止めた。
「莉菜さん ごめん。休憩のために君を座らせた時、すでにあの二人の気配には気付いてたんだけど… まさかあんなに行為がエスカレートするとは思ってなくて。嫌な気分にさせてしまったかもしれない、すまない」
「え!?う、ううん、動かないでって言われたのに動いた私が悪いから…!めちゃくちゃびっくりしたけど」
「俺も衝撃だった」
「ふふ、あんなところであんなコトするなんて、ちょっと信じられないよね?」
良かった、佐助くんは怒ってたわけじゃなかった。
安心して、緊張が緩む。
「信じられない、か。俺はあの人達の気持ち、少しわかる気がするけど」
「え?」
(グイ!)
「あっ!」
手首を強く掴まれて、近くにあった木に身体を押し付けられた。
「佐助くん…!?」
顎をすくわれ、軽く上を向かされる。
すると佐助くんの顔が近づいて…ーーー
「…っ」
木の幹に背中を預けた状態で、佐助くんのキスを受け止める。
何度か啄むようにされた後 舌を絡め取られ、だんだん濃厚なキスに変わっていった。