第10章 熱帯夜に見た夢/R18
「俺の可愛いキツネさん。こんなところに居た」
(ピトッ)
「ひゃ!」
パニック寸前の私の首の後ろに 冷たい何かが当てられた。
悲鳴は最小限に抑えて お面を取って振り向くと、私と同じ目線まで低くしゃがんだ佐助くんと目が合う。
その手には水を入れた竹筒を持っていて…ーー
「さ、さす、」
「動かないでって言っておいたのに」
「ごめ…」
佐助くんが低い声で私をたしなめる。
…っ、なんかちょっと怒ってるかも。
「もしかしてあれを見てた?」
「…ご、ごめんなさい」
「これ以上 他人の逢瀬を邪魔したら悪い。あっちに行こう」
「は、はい」
足に負担がかからないよう佐助くんに支えてもらいながら、その場から離れた。