第10章 熱帯夜に見た夢/R18
本殿の方は不思議なほど静まり返っていて、夜店が並ぶ参道とは まるで別世界だ。
月明かりを頼りに、本殿の横にあった大きな石に腰掛ける。
「莉菜さん、足見せて」
座っている私の前に ひざまずいた佐助くんが、すぐに私の足の傷を確認する。
「かなり赤くなってるな…… 痛い?」
「ん、ちょっとだけ痛い」
「ごめん。もっと早く気づけば良かった」
「ううん、全然たいしたことないから」
ああ、佐助くんに余計な心配をさせてしまった。
申し訳ないな……
「喉 乾いてない?すぐそこに井戸があったから、水をくんでくる。君はここに座って待ってて」
「うん、ありがとう」
ここから絶対動かないように!と念押しをして、佐助くんは井戸の方へ歩いて行った。