第10章 熱帯夜に見た夢/R18
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気付けば辺りはすっかり暗くなっていた。
佐助くんと手を繋ぎ、ぼんやりと提灯を眺めながら歩く。
「莉菜さん、疲れてない?」
「うん、大丈夫」
気遣ってくれた佐助くんに、大丈夫と微笑み返す。
でもほんとは少しだけ足が痛かった。
慣れない下駄を履いて来たから足の指の間が擦れて赤くなってる。
痛みを我慢してるのは"帰ろう"と切り出されるのが怖いからだ。
もっとずっと、佐助くんと居たいから……
でも、
「もしかして足、痛いんじゃない?やっぱりちょっと休憩しよう。本殿まで行けば、人も少ないし座れる場所があるだろうから」
「う…… ごめんね、ありがとう」
やっぱり佐助くんの目は誤魔化せなかったようで、結局 休憩させてもらうことになった。