第10章 熱帯夜に見た夢/R18
「これ、べっ甲で出来たコケシかな?って。顔が付いてるし… べっ甲って高級品だよね?」
「コケシか………」
…ん?
これは…
コケシ?なのか……?
何となく嫌な予感に襲われる。
「あー。でもこれ、顔が怖いね。なんだか怒ってるみたいな表情だなぁ……」
高さ約15センチ、直径約5センチの円柱形の上部には、確かに人の憤怒の表情が彫られている。
限りなくコケシに近いが……
良く見るとそれは、この時代の性具である張型(はりがた)、
いわゆる『デ●ルド(バ●ブレーター)』だった。
!
そうか、
だからあのオジサンは最後にあんな事を……!
「………」
点と点が繋がったものの、どうしたものかと頭を悩ませていると
「でも少しくらい顔が怖くても、このコケシお部屋に飾るよ!ご利益ありそうだし!」
張型を手で弄んでいた莉菜さんが、張型の憤怒顔部分に頬ずりをした。
「いや、部屋には飾らないほうがいい。顔の表情からして万が一 呪いのかかった物だといけないから」
「呪い!?」
「ああ。良かったら俺が一旦預かろうか? 飾るよりも前に お祓いをしてもらったほうが良いかもしれない。知り合いに高名なお坊様がいるから頼んでみる」
「ほ、ほんとに?ありがとう、じゃあお願いします」
莉菜さんから張型を受け取り 鞄の中に入れる。
騙したみたいで申し訳ないけれど、これは俺の隠れ家で大切に保管しておこう…