第10章 熱帯夜に見た夢/R18
「佐助くんほんとにすごいよ、百発百中なんだもん…!しかも普通、命中してもなかなか落ちないよね?どうしたらあんなことできるの?」
「ちょっとしたコツだよ。コルクの詰め方や弾を当てる角度、場所、スピードを計算して、それぞれの景品に合った撃ち方をしただけ」
「えーーー そんなの考えてたんだ!?」
興奮覚めやらぬ莉菜さんが俺の横を跳ねるように歩く。
戦や仕事で本物の銃を扱うこともある俺としては、そんな計算は当たり前のことだ。
俺の場合は敵を殺傷する目的じゃなく、あくまで動きを封じる為だけに 時おり銃を使用する。
その際 打つ場所を絶対にミスらないよう、緻密な計算を一瞬でしなきゃならない。
でも、まさかこんなところでも忍としての鍛錬が身を結ぶなんて…
厳しい修行を頑張ってきて良かった。
莉菜さんの笑顔を見ていると、今までの努力が報われた気がした。
「あ、ねぇ さっきの景品、ちゃんと見てみてもいい!?」
「ああ、もちろん」
「わー!亀だぁ、やっぱり可愛い〜」
莉菜さんが袋の中から亀を取り出し、抱きしめる。
「ちなみに亀のどんなところが好き?」
「ゆーっくり、のーんびりしてるところかな?あと 色も好き。緑色は佐助くんを思い出すから…」
俺が素朴な質問をすると、木彫りの亀の頭をヨシヨシと撫でながら答えてくれた。
「そう、か… それは嬉しいな………」
嬉しい、すごく嬉しいけれど。
今、自分でも恐ろしくなるほど品性に欠けた想像が、確実に俺の脳内をよぎってしまった。
そのあまりに下品な想像をすぐにでも消してしまいたくて、急いで話を変更する。
「…ほかの景品は何だった?撃ち落としはしたけど、実は何か良くわからなかったんだ」
「えーとね、」
莉菜さんが袋から2つ目の景品を取り出した。