第10章 熱帯夜に見た夢/R18
「…よし、亀ゲット」
一瞬、その場がシンと静まり返る。
「え、ええええええ!?」
「な、何ィィィィィ!?」
集中力が途切れないうちに あと2つ。
二人と会話することなく、淡々と次の弾をセットする。
(シャコン!)
パン!
…ぼすっ
(シャコン!)
パン!
…パサッ
「ふぅ…」
良かった、3つとも取れた。
「さ、佐助くんすごぉぉぉい!!」
「なんでだァァァ!?」
キャッキャとはしゃいで喜ぶ莉菜さんと、あり得ないと言わんばかりに愕然するオジサン。
「はぁ、緊張したな…」
「すごいすごいすごい!嬉しいー!!」
莉菜さんと手と手を取り合い、喜びを共有する。
「…兄ちゃん、俺ァ 何十年もこの商売してるが、ここまでの腕を持った奴には未だかつて会ったことねぇ。いやぁ〜 今日は良いもん見せてもらった、ありがとよ」
オジサンが感極まった様子で景品を袋に詰めてくれた。
「こりゃあ うちの景品の中でも一番の目玉だ。まぁ兄ちゃんならこんなモン必要ねぇとは思うが持ってきな〜」
「…?ありがとうございます」
「おじさん、ありがとう!」
"兄ちゃんならこんなモン必要ねぇ"…?
どういう意味だろう。
オジサンの最後の言葉に引っかかるが、景品を受け取ってそのまま店を後にした。