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【ハイキュー!!】あったかい。【田中龍之介】

第1章 あったかい。


顔を上げると、目の前にいたはずの龍がいなくなっていた。


「…龍…?」


いないということは帰った?




その考えが脳裏を横切る。



一気に目頭が熱くなってきた。


その瞬間





「おい、こら」


俯いていた顔を両手で上げられる。


「って、はぁ?!なに、どうした?!なんで泣いてんだよ?!」



龍が目の前にいた。


更に目頭が熱くなって、頬に伝ったのが涙だとわかったのは龍が私の涙を龍の服で拭ってからだった。




「龍ー…っ」



「わーー!わかった、わかった!泣くなって!」




龍は私の目の前に、白い紙コップに入った甘酒を差し出す。




「これ、取りに行ってたんだよ!」



「…甘、酒?」



「そ。おっ前、ほっぺとか鼻とか真っ赤になってくんだもん」




ぺちっと私のほっぺたを軽くたたく。




「へ…?」


「んだよ、あほな顔して」




「怒って帰ったんじゃ…」



「怒ってねぇけど?」



「だって来るの遅かったから、ため息ついてたし…」






ぶっはっと吹いていきなり笑う龍。





「な、なんで笑うの!」


「そんなんで怒るわけねぇじゃんww」



龍は私の頭をポンポンと撫でる。




「俺だって、結構楽しみだったから来てくれただけでも嬉しいし…しかも何だよ、そのカッコ」


龍が私の足のつま先から頭のてっぺんまでゆっくりと見ていく。



「変、かな?」



「いんや?…可愛いけど」




語尾が小さくなっていく。



「ホント?!私、いつも女っぽくないし似合わないって思って…」



「俺にはお前のこと、初めて会った時から女としてしか見てなかったけどな」




龍はくるっと後ろを向き、私に後ろ向きで甘酒を渡す。




「ほら、冷めんぞ」



一向にこっちを向こうとしない龍の後ろ姿を見ると、耳が真っ赤だった。







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