第12章 冴えないメガネ
ドワイトがレバーを引くと少し時間が掛かりながらもシャッターが開いた
覗いてみると奥へと道が続いていた
「ふぅ…あとは他の人を助けに行かなくちゃ」
『あ、そうだ…殺人鬼はどんな奴だったの?』
「確か今日は…」
ドワイトがピクッと反応した
何事かと思ったが、ふと視線が感じ後ろを振り向いた
『…マイケル?』
青い繋ぎでゴツゴツとした手に握られている物騒な刃物
彼の顔とも言えるマスク
「早くここから脱出してうさみ!」
『どうして此処に…あっ、殺人鬼ってマイケルのことか
ドウドウ…久しぶりマイケル』
ドワイトはポカーンとした顔をしてこちらを見ている
そしてマイケルは首をかしげている…ってお前もあざといわッ!
近くに寄ると血の臭いがしてウッと眩んだ
刃物から血が滴り落ちていた
『“今日は”マイケルが人を殺し回ってたの?
後ろのメガネ君は見逃してあげてね
彼はとてもいい子で仲間思いだったんだよ…あ、マイケルもいい子だよ』
頭を撫でてあげる、と手を伸ばすと腰を折って撫でやすい体型になったので撫でまくる
撫でてるけどこれマイケルは感覚伝わってるの?
マスク邪魔じゃない?
『いい子いい子…お疲れ様マイケル!今日は頑張ったね~偉いね~』
必死にご機嫌取りをする自分(ドワイトの逃げる時間を稼ぐのだよ)
ってまだ逃げてなかったんかいドワイト!
スクっとマイケルは立ち上がり私を持ち上げ、器用に肩に乗せた
いわゆる肩車ってやつだね?懐かしい
『ちょっと早く逃げてよドワイト』
「君は…殺人鬼の仲間なの?」
『ん~仲間…仲間っていうより勝手に家族と思い込んでる精神異常者なのだよドワイト君
でも普通の非力でブッサイクな人間なのは確か』
「君のこと…仲間だと思ってたのに…」
震える声、泣きそうな顔でこちらを見ていた
『残念だけど仲間ではないね』
ドワイトは地面を見て歯を食い縛っていた
そこまでショックだったのかな?
『仲間じゃないけど良い友達にはなれたと思うよ
君のお仲間はとっくに逃げたと思うからドワイトも逃げなよ
マイケルに殺されたいの?』
「納得いかないけど…うん…今日はありがとううさみ」
『また会おうねダーリン』
彼は最後に顔を真っ赤にさせて寂しそうな笑顔で消えていった