• テキストサイズ

【実況者】蟹の好きな花【rtrt夢】

第5章 幸せなおふたりさん


 

「レトさんから可愛い幼馴染みの彼女が居る、って妄言はよく聞いてたけど、まさかマジだったとは……」
「妄言て」

 最初は多分、俺の方から何気なく恋人の有無を(当然いる筈ないと思って)聞いたのだと思うが、以来会う度に幸せそうなにやけ顔で彼女のことを話してくるから割と鬱陶しかった。
 黒髪ロングの似合う京美人で、実況者としてのレトさんも応援してくれてて、家事も出来て特に料理が美味い、小さい頃に結婚の約束までした可愛い幼馴染み。ははは、嘘乙。信じられるわけなかった。何だその彼女のハイスペック設定と恋愛ゲームの幼馴染みルートみたいな話。どっかで重要な選択肢間違えたら、うっかりヤンデレ化しそう。
 このひと、ゲームのやり過ぎで頭可笑しくなったんだろうな、可哀想に……。などと思っていたのだが。

「キヨくんそういうことは心の中だけで思っててよ、俺の今までの彼女自慢をそんな風に思ってたの、酷くない?」
「あれ、声に出てた? ごめん、俺って自分の心に嘘を付けないタイプだから」
「史上最悪の嘘つきがまた嘘言ってる」

 うわあ、とこちらを冷やかな引いた目で見つめてくるレトさん。一方で、彼女さんは俺たちの会話を楽しそうにクスクス笑って聞いている。

「わあ、全身ラジオの生収録見てる気分……」

 ぼそりと呟かれた声は、俺たちの笑い声で掻き消されそうなほど小さかったが、とても嬉しそうな熱のこもった声で。嗚呼、本当にファンのひとなのだ、と思った。

「いやっ、まだ何も撮ってないんやからさ、菜花ちゃんも話に混ざってよ。もっと俺の彼女アピールして!」
「え、ええ? でも、私、ちょっと緊張しちゃって……だっ、だってキヨさんですよ? それに、ルトさんからお友達紹介されるなんて、初めてだもん……」
「キヨくん如きにそんな緊張なんてせんでええよお〜」
「如きって失礼だな」

 まあ、俺もまさかコラボ実況撮りに来たつもりが彼女を紹介されるとは思わず、妙に緊張してしまっているんだけど。とりあえず改めて自己紹介をしておくべきか。

「えー、っと、初めましてどうも、清川 卓哉です。実況ではキヨって名乗ってます。春野さんは俺の動画も見てくれてるんですか?」
「あ、はいっ、勿論です。お友達の、最終兵器俺達の皆さんとの実況も、いつも楽しませてもらってます」
「あ、ありがとうございます」
 
/ 93ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp