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THE WORST NURSERY TALE

第4章 【03】鳥籠のジュリエッタ


 今日もベルフェゴールは氷雨を抱き枕にして朝から眠っていた。これで3日目である。朝方にやってきた彼は有無を言わさずに氷雨を抱き枕にして眠り、昼過ぎになると起きてそのまま部屋で食事を取り、彼女に「部屋で大人しくしてろよ」と言って夜中に出ていく。スクアーロからは「ホテル内であれば動きまわってもいい」と聞いていた氷雨だったが、結局この3日間は部屋から外に出られていなかった。と言っても、備え付けのトイレもバスルームもあるので生活には不自由していない。食事も隊員の誰かが持ってきてくれる。外に出たい気持ちもあったが、ベルフェゴールが「王子の命令」と称してナイフを突き付けてくるので、身の安全を確保するためには大人しく待機している他なかった。


(ベルくんは、私の見張りでも命じられたのかな……)


 見張りを命じられたが睡眠もとりたいのでこんな体勢を取っている、というのは、まあ考えられない話でもないと氷雨は思った。そこまでするくらいなら、そこらの平隊員たちが見張りについてくれれば十分なのに。そもそも彼女は逃げる気など更々ないので、見張り自体が無駄骨のような気がしなくもないのだが。
 それに、この体勢は心臓に悪い気がすると彼女は思っていた。なにが原因かはわからないが、彼に抱きつかれるたびに心拍数が変化するのだ。しかも、顔は熱くなるし息も苦しくなってくる。風邪でも引いたのだろうか、と思ったのだが、昨日も一昨日も日が落ちる頃になるとすっかり調子が良くなった。
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