第4章 【03】鳥籠のジュリエッタ
「でもマーモンちゃん、強くは止めないのね?」
「ベルは遅かれ早かれ、答に辿り着くだろうからね。僕らの勘違いなら早めにわかってくれたほうが助かるよ」
「あら、じゃあマーモンちゃんも二人の恋を応援派?」
「“も”ってなんだい」
「私は応援派だもの!そうしたら氷雨ちゃんと恋バナも出来るわ~」
「貴様、まだボスに邪な感情を……」
「もーレヴィったらお堅いんだから!思うだけは自由だもの」
「思うだけでも不愉快だ」
マーモンを挟んで、今度はルッスーリアとレヴィがボス談義を始める。ルッスーリアの恋バナとやらは笑い話というか右から左に流せる話だからまだマシか、とマーモンは思った。なんだかんだで彼は大人なのだ。危ない橋をわざわざ渡るような人間ではない。
(賛成か反対か。二択で選ぶなら、間違いなく反対だろうね)
先程のルッスーリアからの質問を思い返して、マーモンは心中で答を出した。その理由は多岐に渡るが、纏めてしまえばたった一言にできる。単純で、明白で、容易な答だ。同業者である暗殺者たちの多くは恐らくそれに気付いているはずだろう。
(僕らが恋に現を抜かしても、幸せになんてなれやしない。不毛なだけだよ)
あの二人は、いつその答に辿り着くのだろうか。