第1章 【01】プロローグ
翌日、ベルフェゴールと氷雨たちはイタリアのアジトへ帰還した。アジトへ入るなり、お得意の叫び声をあげながら現れたスクアーロの出迎えを受ける。
「げっ、スクアーロ」
「う゛ぉおおい!その顔はなんだぁ!」
「ただいまースクアーロ。はい、報告書」
明らかに表情を歪めた少年とは対照的に、氷雨は笑顔で報告書を差し出した。少年に食って掛かろうとしていたスクアーロも目の前に差し出された報告書を見れば、そちらに注意を移す。
「おお、ご苦労だったなぁ。ガキが一緒だと大変だったろぉ」
「オレもうガキじゃねーし、ちゃんと働いてたし」
「どの口で言ってんだ、くそガキ!昨日仕事の邪魔してたろうがぁあア!」
「なんのことだか王子わかんね」
一時の平穏は無惨に砕けちり、いつものようにスクアーロは、ベルフェゴールの発言にいちいち反応して食って掛かる。対するベルフェゴールは、口許ににんまりと笑みを浮かべて言い争いすら楽しんでいるような様子である。