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THE WORST NURSERY TALE

第7章 【04-後編】零時の鐘が鳴るまで


「あのね、ベル」

「んー?」

「明日も好きだよ」


 世間話をするようなノリで氷雨は言った。一瞬、ベルフェゴールの動きが止まり、何事もなかったかのようにまた歩き出す。目線はずっと前を向いたままだ。


「…………知ってる」

「うん、そうだよねえ」

「つーか、」


 ベルフェゴールはもう一度足を止めると、氷雨に向き直った。金色の前髪に隠れて、彼の目元はいつも見えない。けれど、その奥にある表情が彼女にはいつも見えているようだった。
 氷雨の肩を掴む手に、少しだけ力が入ったような気がした。


「オレも、好き」


 氷雨は、頬を赤らめて嬉しそうに笑う。明日がどうなっても、昨日がどう変わっても、ベルフェゴールが傍に居てくれるなら、なんとか生きていけそうだと思った。
 ーーほんと、しょうもないくらい現金だね。
 けれど、彼が好きだと言ってくれるから、彼女はそんなしょうもない自分も悪くはないかなと思えてしまう。ベルフェゴールの前ではとても口には出せないが。

 ミルフィオーレファミリーという強大な敵を相手取った怒涛の日々。そのフィクション映画のエンディングのような幕引きを感じながら、氷雨は新しく始まる日常に心を寄せるのであった。






 そうして、世界は形を変える
 あなたが望んでも、望まなくても








 ーーマーレリングは封印され、10年前から来た沢田綱吉達は過去へと帰った。
 そして、未来のアルコバレーノから、過去の"彼ら"へ思いも寄らないプレゼントがもたらされることになる。



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