第7章 【04-後編】零時の鐘が鳴るまで
だが最終的に、氷雨はミルフィオーレファミリーをも裏切っている。機密データの流出が発覚し疑いが掛かるや否や、その世界での6弔花を担っていた人物と一個中隊を壊滅させて彼女は死んだ。コメータファミリーの主要人物は、既に行方をくらました後だった。
白蘭は、弄んでいたマシュマロを口に運ぶ。
「その弱さを補う為なんだろうけど、あの子の交渉術とポーカーフェイスは相当レベルが高くてさ」
「白蘭様をも騙すとは……そこまで頭のキレる人物ならば、6弔花とはいえ彼では荷が重いのでは?」
「んーん、いいんだよ。僕の経験則上、ヴァリアーへの最適解はジル君だ。それに今回は、必ずしも勝つ必要はないしね」
ここで頑張ったって仕方がないとばかりに、白蘭はソファへと身を沈めた。それよりも自分は面白いものを見せてもらえれば、それでいい。
「今度はどんな顔して死ぬのかな、フフ」
またひとつ、マシュマロを口元に運びながら白蘭は楽しそうに笑った。