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THE WORST NURSERY TALE

第7章 【04-後編】零時の鐘が鳴るまで


「……ね、レヴィ。いまの私のやつと同じ設定で一回やってみてくれない?」

「ヌ……別に構わんが」

「ありがとう!あ、ちなみにリングと匣兵器使用不可の縛り付きねー」

「なぬ!?め、面倒な……」


 氷雨は、レヴィの返事を聞いたと同時にコンティニューの文字に触れた。装備を確認している彼を「頑張って!」と激励してから、観戦用のスペースへと移動する。
 彼女が最前列の椅子に腰を下ろしたのとほぼ同時に、レヴィはトレーニングルームへと入室した。真っ白な部屋が、再び夜の森へと姿を変える。やがて敵の影がまた現れて戦闘が始まった。ベルフェゴールやフランは"鈍重"と揶揄するが、彼女からすればレヴィの戦い方は己よりも余程鮮やかに見える。彼に近づくことすらかなわずに、次々と消えていく影を食い入るように見つめながら氷雨は、ぐっと拳を握りしめた。
 さほど時間もかからずに戦闘訓練を終えてトレーニングルームから退室したレヴィを、彼女は拍手して出迎える。


「お疲れさま。さすがレヴィだね、立ち回りすっごく参考になったわ」

「そ、そうか。いや、この程度は造作もないぞ」


 普段あまり聞くことのないストレートな褒め言葉に、レヴィは満更でもなさそうに表情を緩めかけて慌ててそれを引き締めた。腕を組んで胸を張る姿は、とても喜びを隠しきれてはいないけれども。
 はた、と彼はなにか思い出したような顔をすると氷雨へと向き直る。


「今日の会議だが、本当にアレで良いのか?」

「アレ……えっと、どれのこと?」

「お前の配置だ。俺と持ち場を替えても構わんぞ、城で待機するほうが……」

「レヴィ」


 彼の言葉を最後まで聞かずに、氷雨はそれを遮った。冷静な声音に合わない穏やかな笑顔が、一瞬レヴィの背筋を粟立たせる。


「ありがとう。でも、大丈夫!私が適任だって満場一致だったでしょ?」

「ぬう……それは、そうだが」

「レヴィは優しいね。昔は、ぜんぜん私に興味なさそうだったのに」


 痛いところを突かれて、レヴィはぐっと押し黙った。なさそう、ではない。実際、興味がなかった。彼の判断基準はいつだってボス・XANXUSが中心だ。ボスが捨て置き、ボスが憎むボンゴレに与する氷雨は、彼にとって取るに足らない存在だった。
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