第6章 【04-前編】零時の鐘が鳴るまで
氷雨は寝ぼけ眼に喝を入れるように、己の頬をパンっと平手で打った。
「!?どうした、鈴川!」
「ちょっとした気合い注入です。……綱吉さんについては、他にも情報が入っているかもしれません。ヴァリアーの情報網で調べましょう」
『姉さん……ありがとう!』
「いいえ、こちらこそありがと、黎人。また何かあったら教えてくれる?」
『もちろんだよ!僕もボンゴレの一員だからね。じゃあ、また連絡する』
「ええ、また」
氷雨はそう言って電話を切ると、改めて了平と視線を合わせる。
スクアーロには4日と言われた。それでも強行スケジュールだと思っていたが、そんなことを言っていられる状況ではなくなってしまった。
「笹川さんは、この情報をボスとスクアーロに伝えて下さい。今後の動きはそちらで」
「うむ、承知した。おまえは……と、聞くまでもないな」
「ええ、お察しのとおりです」
氷雨は、モニターに触れる。
「このネットワーク構築、一晩で終わらせます」
その宣言に、その場で作業をしていた隊員たちが息を呑んだのは言うまでもない。
どう考えても無理難題。しかし、彼らは知っていた。それでも、彼女が言い出した以上は、それを現実にしてしまうだろう。
殺しとは一線を画した位置にあるが、これも一種のヴァリアー・クオリティなのかもしれない。