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白蛇さんに捕まりました!!

第10章 【お風呂場での濡れ事】



口付けだけで、口内がどろどろになったときのことだった。
小さめの飴玉程の大きさの塊がころんと、私の口へ転がり込む。

「っんむ!」

驚きを隠せない私は、びくっと肩を上げ、応えることも止めてしまう。

「大丈夫、飲み込んで。痛くないから」

ねっ?と言う、白蛇さんの綺麗な双方の目尻はぽっと赤く染まり、扇情的な、先程までしていた行為を思い出す。

言葉を信じ、まだ息が整わない中、えいっと飲み込む。直後は何も異常はないかと思われたが、一分程すると身体の奥から、蒸すようなじわじわ責めてくる怠さが襲う。かっと、高熱が出た幼い日の事を思い出してしまう。

(なに、これ……起きてるのも、辛い)

「白蛇さん、体が……」

「効いてきたようだね、この体制じゃ辛いだろう」

今寝かせてあげるからと、壁に私をそっと預け、布団を敷いてくれた。今まで何回敷いてもらったのか数えていない。自分で敷いた回数より、してもらった方が多そうだ。
上手く回らない思考回路で、ぼーっと後ろ姿を見つめる。見てはいるけれど、頭が考えることを拒否しているのか、ただ見つめているだけ。

敷き終わった白蛇さんは、壁に背を預ける私を優しく抱き上げ、
ふかふかの布団へと降ろしくれる。
ありがとうと言いたかったが、口から出るのは苦しい吐息。怠さ、目眩、吐き気、それに体の芯から来る何か得体のしれない物がうごめいている気がした。
布団から出る私の手に、白蛇さんは包み込むようにして握ってくれた。



「ごめんよ……、こんな事でしか君を支えられなくて……」




瞼が閉じそうな境を彷徨っている中、
白蛇さんはそういった気がした。聞こえなかったけれど、私より辛い表情がぼやける視界から覗く。

(違うの……違うの、白蛇さん。私なら大丈夫だから、ねっ?)

だからそんな苦しい表情を見せないで。お願いだから。
いつもみたいに接したいのに、
今の私の状況では、出来ないことに歯痒いまま意識は途切れた。

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