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白蛇さんに捕まりました!!

第9章 【黄泉の国へ※】



ゴクリと、ツバを飲む音がどちらの鬼からか分からないが、静かな空間だ。その小さな音でさえも、やけに大きく聞こえる。

「だから……それなりに罰を君達に与えないとね?」

手がスッと鬼達へ向かうように伸びたかと思うと、風が通り、後ろで呻き声と、衝撃音が鳴った。気付いたときには、私を掴んでいた鬼は消え、音が鳴った方へ目を向けると、
路地裏の壁にめり込むようにして鬼がいた。ピクリともしていない。
すると、バタバタと足音の数が一気に増え、見ると白蛇さんの後ろには、複数人の軍服を着た人達が険しい表情を浮かべ、控えていた。

「本当は息の根を止めたいくらいだけど……、気絶させただけだから、吐かせられるものは全部吐かせて。あとは君達に任せるよ」

「はっ!」

一人の男が白蛇さんに対して敬礼し、
その男性に付いていくように、控えていた人達も続いていく。
鬼達はまだ意識が完全に戻っていない。どこか夢現といった表情だ。
薄暗い路地に、更に影がかかり暗くなる。仰ぎ見る前に、私は白蛇さんの腕の中にいた。

「ごめんよ、遅くなって。怖かったね……」

一人で勝手に行動してしまった私に、白蛇さんは優しい言葉をかけてくれる。そんな優しさが次第に目を滲み、視界がぼやける。

「うぅ〜、はくださんっ……ひくっ、ごめんなさい……ひとりで、勝手にっ……ごめ、なさいっ」

泣きだしてしまっては、ダムから水が出てくるように次から次へと、ボロボロと雫が落ちる。私も白蛇さんに抱きついた。
恐怖と緊張が解け、力が抜けきってしまう。

「よしよし、ここでは落ち着かないだろ?屋敷に帰ろうか」

優しく慰める手に、不安と恐怖がいとも簡単に解ける。
こくりと二度頷いた。

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