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繫がる物語

第10章 第九話


 柱が消えると、皆小さく、おぉー!と声を上げた。
「どうだ、ヤムライハ?」
「ルフから魔力を使った形跡もありませんし、それになにより彼女の近くにはルフがいません。これは魔法ではない力ですね…」
「そうか。やはりな……

 あと他になにかある者はいるか?」

 シンドバッドが聞くと、皆首を振った。
「それじゃあ、エルアのシンドリア滞在に異論がある者はいるか?」
 再び問うと、八人将は再度首を振った。
 それを見たシンドバッドは満足気に頷き、エルアと二人で話がしたいということで、八人将は解散した。

「で、話とは?」

「あぁ。エルア。シンドリア滞在ついでに、といっちゃあアレなんだが…、シンドリアの食客にならないか?」
「食客?……んー…」

 少し眉間にしわを寄せるエルアを見て、シンドバッドは続ける。
「煌帝国がエルアの後ろだてだから、少しよろしくない話かもしれないが…どうか?」

 それを聞くと、エルアは目を伏せつつ告げた。
「…ジュダルとか、煌帝国の人らは関係ないですよ?私はあくまでも別の世界から来た者、即ち部外者。そうそう迂闊に手を加えてこっちに迷惑かけちゃいけないと私は思うんです。ましてや、使われるなんて以ての外。シンドバッドさんが私をどう思ってるか知らないし、てか、私はシンドバッドさんを全然知らない。

 なので、話は受けれません」

「……そうか。すまないな、君の考えや身を知らずに変なことを言ってしまって…
 だが、食客にならなくとも、好きなだけここにいればいい。君は俺らの世界の客人なのだしな!」
 シンドバッドはそう言ってキラキラした笑みを浮かべて見せた。
「本当ですか?!ありがとうございます!」
 それを聞いたエルアは嬉しそうに礼を言う。
「部屋なんかはジャーファルが手配するから、何かあったらジャーファルに聞けばいい。ジャーファル!」

「お呼びでしょうか、シン?」
 シンドバッドが呼ぶと、どこからともなくジャーファルが現れた。

 その速度は部屋にいなかった筈なのに速く、エルアは
(え、何今のスピード。召喚したの、シンドバッドさん、ジャーファルさんを召喚したの?!ジャーファルさんホントは召喚獣なの?!)
 と思ってしまったのだった。

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