第3章 第三話
「……で」
ジュダルは紅覇の方に向き直る。
「いきなり斬りかかるなんて、あぶねーじゃねぇか!」
「な〜に言ってるのぉ〜?キミがエルアの近くにいることの方が危ないと思うんだけど~?」
「お前が言うな!!」
どっちもどっちだと思うのは私だけなのだろうか、とエルアは思った。
「とにかく、ジャマな奴はみ〜んな死刑ってことで♪」
にこやかにそう言うや、紅覇は再び如意練刀を構え、ジュダルに突進してきた。
「エルア!逃げとけよッ!!」
ジュダルは叫ぶと、空中に浮かび上がり、攻撃を回避する。エルアは被害のかからなそうな柱の陰にすぐさま避難した。
そして、そこからそっと二人の様子を見た。
(……あれが、こっちの世界での戦闘…)
ジュダルが上空から杖を振るって魔法で氷柱を撃つと、紅覇はそれらを一本も残さず斬り砕き、間を見ては高く跳躍しジュダルに斬りかかる。
(私らの世界でいう、鬼道と斬術での戦いみたいなもんかしら…)
そんなことを思いながらも、エルアは二人の戦闘を見守った。
「あら?そんな所でどうされたのですか、エルアさん?」
すると、いきなり、背後から穏やかな女性の声が掛かった。
「白瑛さん!!」
艷やかな黒髪に、透き通るような白い肌。煌帝国第一皇女、練白瑛だった。
「どうしてここに?」
「偶然通りかかっただけですよ」
そう言うと、白瑛はにっこりと微笑んだ。
(め…女神だ…女神様がいらっしゃる……!)
エルアは白瑛を見てそう思った。