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生贄のプリンセス【Fischer's】

第4章 いる


シルクside___

__歓迎会も終わって、一安心……かと思いきや、片付けは尋常じゃなくあるわ、ほっせえ奴は寝てるわで、皿洗いばかり任されるバイトのように忙しく片付ける。

一方で、恋奈は、余韻に浸るように ルンルン気分で片付けをしていた。
すげぇな、と、手を泡だらけにしながら素直に思う。

「そういえば、パーティどうだった? 楽しかった?」

〝楽しかった!〟……の答えを待つかのように、ダホは食い気味に聞く。
恋奈は、〝楽しかったよ‼︎〟と、弾む声音とキラキラの眼差しでダホの質問に応えた。
ダホは、良かったと笑う。

「これからパーティも増えるだろうし……無理しないようにね?」

ぽんぽんと頭を撫でながら言ったモトキに、照れくさそうに笑いながら〝うん〟と返事する彼女。
__あぁ、本気だ
一瞬で分かってしまった俺に、モトキは笑いかける。

……余裕すぎんだろ。

「良し、これで終わりだな」
ちょっと苛々しながら拭いた皿を棚にしまって、皆で〝終わったー!〟と笑いながらキッチンから出る。
相変わらず、ぺけはお酒に潰れていた。

「あ、そうだ」
モトキが何か思いついたように言う。
何だ、また 恋奈を独り占めする作戦か?
と敵意を剥き出しにしていると、

「恋奈、まだ部屋とか見回った事なかったよね。
シルク、案内してあげれば?」

予想外の言葉が飛び込んできた。
いきなり振られた話題に、〝俺ぇ?!〟とびっくりしてしまう。
ンダホは〝リーダーなんだからいけよ〜〟と茶化してきた。

一体何がしたいのか、正直モトキの考えは全く読めない。
読もうとすると、それを上回る何かが出て来る。

訳わかんねえ〜……と思いながらも、せっかくのチャンスを逃すわけにはいかないので、恋奈を案内する事にした。


モトキは笑っている。
……強いて言うならば、あいつは上げて落とすタイプだと、その時確信したのだった。
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