第14章 暮るる籬や群青の空
「………!」
『乱歩さん?』
「如何したンだい?」
乱歩は帽子を被り、社長に向き直る。
「社長。攻勢を呼び戻した方が良いよ。」
「敵か?襲撃規模は何人だ?」
乱歩は、監視映像が流れるパソコンの画面ををくるりと福沢の方へと向けた。
「一人だ。」
其処に映った一人の黒づくめの男は、にたりと笑う。そして、ブツン―――と監視映像が停止した。
*
「監視映像弐番と伍番が停止!!」
与謝野の声に、なまえは後ろからパソコンを覗いた。次々と消されていく監視映像、そして―――。
『………!!』
残された数少ない監視映像に映る、よく知る人物に瞳を見開いた。
「自動迎撃銃を起動せよ!!」
『……社長、無駄です。』
「何?」
瞬間、自動迎撃中は全て一瞬にして破壊された。
「「「!!?」」」
《特使の接待役がこんな木偶とは。泣かせる人手不足じゃねえか、探偵社。》
残された監視映像に、掛けられる声。
《生きてる奴が出て来いよ。なァ、なまえ。其処に居るんだろ?首領の言伝序でに、堂々と手前を掻っ攫って手土産にすりゃ、首領はどれだけ喜ぶだろうなァ。》
中也の言葉に、乱歩は福沢を見る。
「社長。」
「お前も私と同意見か。」
福沢の問いに、乱歩はこくりと頷いた。
「与謝野、賢治、行け。」
『社長!私が行きます!彼は危険です、』
「なまえ、お前は此処に残れ。」
『ですが!!』
「異論は認めん。一先ずお前は待機だ。」
『……わかりました。』
福沢の指示に、なまえはこくりと頷く。
そして、与謝野と賢治は社長から説明を受け、中也の元へと向かった。