第13章 The strategy of conflict
闇に咲く花は所詮―――闇の中でしか憩えぬ
散るはなびらの美しさよ
されど蕾のまま 散らす事もなし
『おはよー…ってあれ、鏡花ちゃんは?』
なまえは出社するなり、いつも一目散に抱き着いてくる鏡花がいないことに気付いた。
「なまえちゃーーん?私はいるよ?」
懲りずに抱き着いてくる太宰を無視して、谷崎を見やれば。
「なまえさん、お早う御座います!鏡花ちゃんなら、敦君と初仕事に出掛けました。」
笑顔でそう言う谷崎に、なまえは眉を下げた。
『(うーん…昨日の今日だし、なんか心配だなぁ…。)』
「ねえねえなまえちゃん、今日は何して遊ぶう?」
『ねえ、谷崎君。二人はどんな仕事に行ったの?』
「ふふ、心配ですよね。でも、大丈夫ですよ。判事さんに書類を届けると云う簡単なお仕事なので。」
「なまえーちゃーんー」
『あ、そうなんだ!それなら安心ね。あそこの判事さんは優しいし。』
いつも通り太宰の存在を無視して、楽しそうに会話を続けるなまえと谷崎。
平和ないつものひと時が、この数時間後には崩れ落ちるなんて―――この時はまだ、誰も予想していなかった。