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生い立ちの歌《文スト》

第4章 『北の海』




海にいるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にいるのは、
あれは、浪ばかり。

曇った北海の空の下、
浪はところどころ歯をむいて、
空を呪っているのです。
いつはてるとも知れない呪。

海にいるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にいるのは、
あれは、浪ばかり。
(中原中也/北の海)


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