第15章 Episode 14
「ねぇ、さくら。もう1回寝よう。起きてたら手伝わされるよ」
ユキがソファに横になりながら、自分の腕を指差す。
私はまだ夢を見ているのだろうか。
そう思いながら、私は素直にユキの腕に頭を乗せた。
「重くない?」
「重くない」
顔を見合わせいると、なんだか可笑しくなってきて、2人で笑った。
今日くらいはダラダラしてもいいだろう。
そうして私は再び意識を手放した。
「さくら、起きなさい!」
「ん、んー...」
「千、さくらに手出してないだろうな」
お兄ちゃんの怒気を孕んだ声に私とユキは目を覚ました。
あれからどのくらい眠っていたんだろう。
「さぁね」
「おい、千...」
「何もないから!!ユキは否定してよ!」
「何もないことはないでしょ」
まるで煽るようなユキの発言に、お兄ちゃんは笑顔を崩さないがこれは完全に怒っている。
「あー、お兄ちゃん。私片付けするよ」
「ありがとう。千は俺と話し合いが必要かな?」
「必要ないよ」
ツン、と澄ましているユキに、これ以上お兄ちゃんを煽らないでくれ、と念を送るがユキはそんなことお構い無しにもう一度ソファに横になる。
意地でも手伝う気はないようだ。
「うえー、頭痛ぇー」
「あ、三月おはよう」
「おう、おはよ。オレも手伝うぜ」
ユキとは真逆に進んで片付けの手伝いを始める三月。
ユキとお兄ちゃんの口論に、屍達が続々と生き返り始める。
寮に戻っていたであろう未成年組も少しずつ集まってきて、皆で片付けをしたのだった。
「こんなもんかー」
「大和、ゴミ私が出してくるよ」
「おお、ありがと」
「私も手伝います」
一織に手伝ってもらいながらゴミ置き場へゴミを出す。
「いい天気だね、一織」
「え?まぁ、そうですね」
急な私の発言に驚きつつも、一織は同意してくれる。
今日、社長とお兄ちゃんに伝えよう。
私の決意を。
「社長、お兄ちゃん。話があります」
私の呼びかけに2人は頷くと、私たちは社長室へと移動した。
社長室に入ると、その空気と緊張でドキドキする。
でも、今伝えなきゃきっと私はまた後悔する。