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雪解けの春《アイナナ》

第15章 Episode 14





目を覚ますと、私の目の前にはユキの端正な寝顔が飛び込んできた。



「えっ!?」



びっくりして飛び起き、周りを見ればそこは小鳥遊事務所だった。
そうだ、昨日打ち上げの二次会をここでしていたんだった。そして飲み過ぎたと思って一度外に出て...そしたらユキも来て...。
そこまで思い出して、私は顔から湯気が出そうな程顔が熱くなった。
酔っていたとしても、ユキと抱き合うなんて...。



「うわぁ...」

「んん...、おはよ。」



顔を両手で抑えながら情けない声を出していると、横で寝ていたユキが目を覚ました。
私は赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、ユキから顔を背ける。



「どうしたの」

「なっ、なんでもない」

「そう。ねぇ、昨日の記憶ある?」

「なんのことかなぁ...」



ああ、こんなの絶対バレてる。
背後から聞こえるクスクスという笑い声に、私は更に居た堪れない気持ちになる。



「それにしても、凄い惨状だよね」



ユキの言葉に辺りを見渡すと、使った食器類もそのままだし、コップもいくつか倒れていて中身が零れているものもある。
ソファや床では酔い潰れた成人組が、まるで屍のように転がっている。



「これ、誰が片付けるんだろう」

「バンでしょ」

「やっぱり?」



こういうのを放っておけないのがお兄ちゃんだ。
手伝うべきだというのはわかっていたが、如何せん面倒臭い。


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