第2章 Episode1
「あー、ごめん。飲ませ過ぎた。完全に飲ませ過ぎた」
「何言ってんら、さくら!まらまら飲み足りねぇよー!」
「三月呂律回ってないから!」
「お兄さんまだまだ語り足りないから。まだまだ付き合ってもらうから」
「大和、君私より年下だから」
かと言って私もだいぶ酔いが回っている。そろそろ帰った方がいいな。
お会計をしてから、何とか二人を宥めて表でタクシーを拾う。
「すみません、ここの住所までお願いします」
「おっ!?2軒目か!?最高ー!!」
タクシーの運転手さんに寮の住所を見せると、酔っ払い1号もとい、三月が絡んでくるが見なかったことにした。
運転手さんも酔っ払いの相手は慣れているのだろう。
少し笑ってはいたがカーナビに住所を入力し、タクシーは発進した。
さっきまで元気だった大和と三月は気付けば眠っていた。
居酒屋は寮から近くの所だったため、すぐに到着した。
「ほら着いたよー。起きろー」
「んあーまだ飲める...大和さんおかわりー...」
「......。運転手さんすいません、別の人に降ろすの手伝って貰うので少し待ってて下さい」
「大丈夫ですよ」
起きる気配のない2人を運び出すのは困難なため、誰かに手伝ってもらおうと寮へと向かった。
まだそんなに遅い時間でもないし、誰かは起きているだろう。
「誰かいるー?」
「おぉ!さくりん!久しぶり!」
「環ー!また大きくなった?ねぇねぇ、ちょっと手伝って欲しいから下来て」
「おう。いいぜ!」
体格的に1番頼りがいのある助っ人を連れてタクシーへと戻ると、二人はまだ爆睡したままだった。
「ちょっと飲ませ過ぎちゃったから、運ぶの手伝って欲しいんだ。大和連れてける?三月は私が連れて行くから」
「任せろ」
環はぐい、と大和の腕を肩にかけるといとも簡単にタクシーから降ろした。さすがだなぁ。
私もなんとか三月をタクシーから降ろすことに成功し、運転手さんに再びお礼を言って寮に戻った。
「はぁーっ!流石に重かった!」
「ヤマさんも、みっきーも、全然起きねぇな」
「ねー。よく寝てる」
2人をソファに寝かせ、床に座り込む環と私。
家に帰るの面倒臭いなあ...。