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雪解けの春《アイナナ》

第13章 Episode 12





「もうひとつ、サプライズがあるんです!」

「サクラ、バンリ、入ってきてください」



三月とナギの声に、私とお兄ちゃんはRe:valeの楽屋の扉を開ける。
そこにはIDOLiSH7とTRIGGERのメンバーも全員集まっていた。



「どうも、こんにちはー。ドッキリ成功した?」

「久しぶり、ユキ、百くん」

「バンさん!?さくらちゃん!?」

「さくら...万...どこにいたんだ!?ずっと、探してたんだぞ...」

「ダメじゃないか千、百くんを困らせちゃ」

「おまえたちが突然姿を消すからじゃないか!もう、二度と会えないかと...っ」



ユキの悲痛な声に罪悪感に苛まれる。



「万...怪我の傷跡は?」

「だいぶ傷跡も薄くなったよ。ほら、前髪に隠れるとわからないだろ?」

「さくらちゃんも指の傷はちゃんと消えた?」

「え?なにそれ。どういうこと?」

「ちょ、百くんそれユキに言ってないから!」



私の発言にしまったとばかりに慌てる百くん。
ユキを見ると怖い顔をしている。
そして私の手を掴むと自分の目の前に持っていき、指をまじまじと見つめている。



「ねぇ、傷ってなんのこと」

「...昔、プレボに入ってた封筒を開けた時に、カミソリの刃が仕込んであって...それで、ざっくりと...」

「なんで言わなかったの」

「ユキに、迷惑かけたくなくて...」

「っ...なんで、なんで万もさくらも僕を守ろうとするんだ...」



私の手を握る手にグッと力を込め、今にも泣きそうな顔をするユキ。
私は空いている手でユキの手を包み込む。


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