第13章 Episode 12
「お兄ちゃん、明日だね。Re:valeのコンサート」
「大丈夫だよ。俺たちが土台を作ったRe:valeだ。それに千の隣りには百くんがいる」
「そうだね。でも、やっぱり少し怖い」
「さくらのことは俺が守るし、Re:valeのことも岡崎さんが守ってくれる。何も心配することはない」
「明日...ユキに会ったらどんな顔をしていいのかわからない」
「その時そのままの反応でいいよ。それに、俺だってどんな顔をしていいかわからない」
5年間、ずっとテレビや雑誌越しに応援してきたRe:vale。
突然姿を消した私たちを、ユキと百くんは怒るだろうか。それとも喜んでくれるだろうか。
半分の不安と半分の期待を胸に、自宅までの道をお兄ちゃんと歩く。
IDOLiSH7のみんなから説明された明日のサプライズ。
上手くいきますように。
「さくら、万理さん今日は頼むぜ!」
「どうしよう三月、口から心臓出そう」
「押し込んどけ」
無茶な。
隣りではお兄ちゃんは涼しい顔をしている。
「サクラとバンリは合図したら入って来てください」
「OK」
「わかったよ、ナギ」
Re:valeの楽屋の近くの別室でお兄ちゃんと待つ。
Re:valeの楽屋からはユキの怒鳴り声が聞こえてくる。
「...なんか、盛大なドッキリだよね。ユキがここまで叫んでるの久しぶりに聞いた」
「あいつ感情を表に出さないからなー」
「でも、百くんとRe:valeを結成してから、だいぶ雰囲気変わったよね。柔らかくなった」
「本当に。昔はあいつこそ狂犬だったからな」
間違いない。百くんよりもユキの方が凶暴だ。
お兄ちゃんとRe:valeの話をするのも久しぶりで、なんだか嬉しくなってくる。
「2人とも、そろそろRe:valeの楽屋前まで来てくれ」
三月に呼ばれ、私たちは部屋を移動する。