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雪解けの春《アイナナ》

第12章 Episode 11





私は百くんと一緒にプレゼントBOXの中身の仕分けをしていた。
有名になるにつれて嫌がらせはだいぶ減ってはいたが、それでも未だに千から離れろだのそういう類の手紙は入っていた。
そんな中、Re:vale宛の少し大きめな封筒が目に留まり、私は封を開けた。



「いっ...た...」

「さくらちゃん!?」

「あっ...大丈夫。大丈夫だから...」

「嘘だ、手見せて」

「ちょっと紙で切っただけだよ!」



しかし、私の指からは隠すのが困難なほど血が滴っていた。
百くんは止血のためにぐっと指の根元を抑える。



「...お願い、ユキには言わないで」

「どうして?」

「ユキはきっと自分のせいだと思うから...ユキは悪くないのに。心配させたくないの。お兄ちゃんはきっと薄々気づいてると思うけど...」

「...これ、いつものことなの?」

「文章だけとか、ホチキスの針が少し出てるとかはあったけど、ここまでのは初めてかなぁ...」



心配そうな百くんを安心させるように精一杯笑う。
封筒に仕込んであったカミソリの刃には、私の血がべっとりとついていた。
百くんが止血してくれたおかげでだいぶ血は止まり、あとは少しキツめに包帯をしておけば大丈夫だろう。



「ありがとうね、百くん」

「俺は何も...!」

「ううん、百くんのおかげでユキはちゃんとRe:valeをやってくれてる。百くんがくれたファンレター、あれユキが持ってるんだよ」

「ユキさんが...?」

「そう。だからね、百くん。ユキのことよろしくね」



なんでそう言ったのかはわからない。けど、もしかしたら私は予感していたのかもしれない。
ユキの隣には百くんが並ぶのだろうということを。


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